うどん小話 その百九十二 中華そばの謎
ラーメンのことを、"中華そば"とか"支那そば"とか言います。これが不思議で、いつか小話の中で書いてみたいと思っておりました。
我々が普通日常的にソバと言えば"日本ソバ"のことです。この"日本ソバ"の話は、「自衛隊とソバ(小話百五十二)」、「金と年越しソバ(小話百六十七)」、「ソバ作り成功(小話百六十八)」で書いていますので、ここでは割愛します。
"日本ソバ"はソバ粉が原料ですから当然"ソバ"でいゝのですが、"中華そば"の原料は小麦粉100%です。なのになぜか"そば"と表現します。製法はうどんと同じで、小麦粉と塩水(濃度0~2%)で作ります。ただ一つ大きな違いは「かん水」を加えることでしょう。
中国では、岩塩などから自然に溶け出した「かん水」を使います。日本では食品衛生法上輸入できませんので、炭酸ナトリウム・炭酸カリウム・リン酸ナトリウム・リン酸カリウムを配合したものを「かん水」として使用しております。弱アルカリ性の「かん水」を加えると、小麦粉のタンパク質やデンプンに作用してラーメン特有の歯ごたえ、滑らかさ、つや、香りが作り出されます。
これはこれで美味しくなるのだから良いのですが、"そば"と表現する理由がさっぱりわかりません。"中華そば"を"支那そば"と言うのは理解できます。英語の「チャイナ」を日本読みにしますと「シナ」の発音になるからです。ちなみに仏語は「シノ」、伊語は「チーノ」と発音します。
そこで今回はラーメン(小麦粉100%)を、なぜ「そば」と表現したのかを調べてみることにしました。
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