うどん小話 その六十九 葱(パート3)
東洋ではネギの古名を「キ」(紀・奇・気)と言い、特に臭いが強いものという意味で、かつては「気」と呼んでいました。西洋でもネギとは"臭う"とか"強く臭うもの"とか、ネギ属特有の臭いのことを言っています。
ネギ属に属する植物は、ヨーロッパ・アジア・北アフリカ・北アメリカなど北半球の温帯を中心に約450種類存在し、その内我が国には18種類存在しています。「キ」(葱)の根の部分を食用とすることから「根葱」(ねぎ)と呼び、「根深」(ねぶか)とも言いました。
讃岐でも30数年前までは"ねぶか"と言っていました。今でもお年寄りの方は"ねぶか"と呼んでいます。(今のような細ネギではありません。中ネギであったように思います。)
当店の女性従業員に聞いてみますと、30歳位の人は"ねぶか"と言えば何かわからないほど死語になっています。40歳ぐらいの人ですと"ねぶか"がネギのことだとわかっていました。これから推測しますと、やっぱり30数年前から"ねぶか"は死語になっているようです。
物流が便利になり、関東の"太ネギ"が関西へ、関西の"細ネギ"が関東へと、いつでもスーパーマーケットで入手出来るようになりました。
今ではネギは"太ネギ"と"細ネギ"の2種類だけのように思われていますが、現在市場へ出ているのは、大きく分けますと4種類あります。
(1)根深ネギ、(2)下仁田ネギ、(3)万能ネギ、(4)わかさまネギ、です。
このうち讃岐うどんに使用しているのは(3)の万能ネギ(細ネギの代表的な品種)です。
ではなぜ万能ネギがうどんに合うのか小話の中で書いてみます。