うどん小話 番外編 その四 海からの贈り物
小麦は天空からの贈り物との話は以前の小話で書きましたが、今日は海からの贈り物について書いてみます。うどんの原料は小麦であることは誰でも知っています。ところが"だし(スープ)"の原料は何かについて知らない方がいます。この"だし"こそ海からの贈り物なのです。
基本的には「コブ」・「いりこ」・「削り節」の三品がベースとなっています。その他は企業秘密・・・・。「削り節」はイワシ・サバ・カツオなどの燻製を工場で人工的に製造しますので、品質は年間通して一定しております。「いりこ」は瀬戸内海の伊吹島産のものを使うようにしておりますが、これが難しい。年々漁獲高が減ってきております。ただ「いりこ」は子供の頃から見て、触って、食べてきましたからなんとか品質を見分けることが出来ます。
ところが「コブ」は難儀。三十数年うどん屋をやっていますが、未だにわかりません。納入先のM商店のM社長にお任せするしかありません。その上、4~5年に一度値段が上ります。海からの贈り物、すなわち自然の物ですからこれもしかたがないかと思っております。値上りの度にM社長に当店まで来ていただき、両者で研究です。この苦労は大変・・・・!!。
当然産地は北海道なのですが、取れる場所で品質(味)が違います。主な産地は大きく分けて5ヶ所あります。「利尻昆布」・「羅臼昆布」・「道東昆布」・「日高昆布」・「道南昆布」です。当店の「コブ」は「利尻昆布」を開店当初より使用しており、値段が上ってもいまさら替えるわけにはいきません。最近"頭"が痛いことの一つです。自然を大切にすればもっと「コブ」が取れるのに、そして安価に入手でき、食文化が向上するのにと思う今日この頃です。
麺文化は、「麺」(天空)と「だし」(海)とがお互いに自己主張しながら一つの物になっていきます。
讃岐の生んだ天才"空海"と同じでしょうか・・・・。