うどん小話 その二十六 東京のうどん(そば)の”だし”は、なぜ黒い
この質問もある銀行の支店長のものです。立て続けに三問答えますが、本当はずっと後に掲載しようと思っていました。
そろそろ薬味について書きたかったのですが・・・・・・・転勤されたら答えられなくなりますから、今書くことにしました。
うどん小話の中で、何度か書いたことがありますが、関東はそば文化(落語などでは、「夜鳴きそば」とか「時そば」のように「そば」の話しばかりです。)、関西はうどん文化といわれています。
そばの原産地は、ロシアのバイカル湖畔から、中国の崑崙山脈、天山山脈の広大な一帯です。チベットにも日本とまったく
同じ製法でそばを打ち、釜でゆで、だし汁で食べる風習があります。これにはビックリしました。(NHKのテレビより)
それぞれの国には固有の食文化があるものです。日本からチベットへ伝わるはずがありません。
関東地方は関西に比べて荒地(高地)が多くあり、そばの生産に適していたのでしょう。
ここで”だし”の色ですが、そばは限りなく黒に近い色をしています。そのそばの色に合わせて”だし”の色を作り出していたのでしょう。
(日本の食文化の素晴らしいところです。)
色の濃淡はありますが、基本的には塩分はほとんど同じです。(白身の魚の刺身を食べるときは淡口の醤油、マグロなどの赤身には濃口の醤油が合います。
これと同じです。)
関西の人達、特に讃岐の人達は食べる前に”だしの色”を見て、先入観で辛いと判断してしまうのです。
あんな底が見えないような真っ黒の”だし”では、辛くてとても食べられない、と思ってしまうのです。
ところが本当は、あの真っ黒の”だし”も関西風のうすい色の”だし”も辛さはほとんどいっしょなのです。
東京の人達が、私の店でうどんを食べても、けっして”だし”がうすいとは言いません。
どのようなことにでも当てはまることですが、見た目だけで判断してはいけません。