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うどん小話

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うどん小話 その九十二 スランプ

手打うどんの麺を延ばす技術にも、スランプがあります。

最近、香川県内のうどん店で、麺の生地を足で踏み、手で延ばす、昔ながらの方法で製造する店が少なくなりました。「手打ち機械」の発達により、職人さんが打った麺より正確に"四角"になる場合があります。

最近の話で、某ビール会社のコマーシャルに讃岐手打うどんが登場します。若者に人気のある女優さんが楽しそうにうどんを打っているのですが、このコマーシャル制作のとき、手打うどんの技術の無い人が麺を延す指導をしているのです。本場讃岐の人からみると少々気恥ずかしかった。

スランプの話ですが、当店の一番古い職人さん(小話その七十九に登場)が、ここ半年前から麺の"切り口"が正四角にならず、ややもすれば名古屋地方の"キシメン"みたいになるのです。注意をすれば1枚(生地)か2枚は直るのですが、すぐ元の"切り口"になってしまうのです。

本人も悩み、苦しみ、努力し、頑張って打ってみるのですが「正四角」になりません。プロ野球の選手がスランプに落ち込み、打てなくなるのがわかるような気がします。

自分では今まで通りやっているのだから間違いないと思っているのでしょうが、結果が出てきません。自信からくる過信、経験の深さからくる油断・慣れ、年齢からくる体力の衰え、職人が持つ頑固さ・・・・。

本店の店長と高松店の店長は、二人とも上手に打ちます。私もなんとか高松店の店長(次男)に、叱られながら頑張っているのが現況です。昔からの御得意様は私の打った麺より、次男の打った麺を欲しがります。少々ガッカリ・・・・!!

空手道には基本型(形)があります。この型(形)を充分に練習・習得することによって格闘技術が上達するのです。

うどんの技術も基本の型があります。この型を思いだし、昔にかえって頑張ればスランプから抜け出すことが可能なはずです。

やっぱりうどんの太さは"割り箸"の先ぐらいが一番おいしいです。しかも「正四角の切り口」でなければいけません。

どのような道でも、"型(形)"を大切にしましょう。

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