うどん小話 その九十五 器(どんぶり)パート2
大谷焼きから砥部焼きの"どんぶり"にかえた理由の一つを前のページで書きましたが、二つめの理由がもっと大きいのです。
大谷焼きの「高台」が弱く、一年に一度の割合で"どんぶり"を購入していました。ちょうどそんな時、知人から「九州の宮崎県で、手打うどんの修業に行きたい職人がいるから面倒をみて欲しい。」との話があり、面接の結果来てもらうことになりました。
この職人(Kさん)のことが、三十年近くなった今でも私の頭から離れることがありません。
Kさんの実家が宮崎市内で有名な民芸店を経営しており、焼物の知識は我々以上に詳しく、Kさん本人も砥部焼きの勉強に梅山窯へ修業に行っていたのです。(当店のどんぶりは梅山窯製)
焼物の土を練るのも、うどん粉を練って"だんご"にするのも手の使い方はまったく同じで、その上、土の硬さと"だんご"の硬さも同程度ですので、Kさんたちまち上手になり、何人かいた職人さんの中で一番の腕前になってしまいました。他の職人さんガッカリ・・・・・・。
うどんのだんごは小麦粉と塩水を混ぜ合わせるだけですが、焼物の土は種類が多く、陶器もあれば磁器もあり、それは大変です。
ここまでの話でしたらKさんのことが、面白くもおかしくもありません。
これからがこの話の本番です。
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