うどん小話 その二十 狐と狸
日本では昔から狐と狸の登場する民話が数多くあります。
「狐につままれる」「捕らぬ狸の皮算用」などと、我々が日常用いている言葉の中に狐と狸は頻繁に登場します。人間とごく近い存在だったのでしょう。
日本の食べ物の中で狐と狸の両方が登場するのは”うどん”と”そば”だけです。
例えば寿司は「きつね寿司」とか、鍋物であれば「たぬき鍋」とか、一方の名前しかありません。(たぬき寿司なんてありません)。
うどん小話 その九で”うどんだし”と”天ぷらの衣”は恋人関係と書きましたが、昔から「きつねうどん」「たぬきうどん」は名物メニューでありました。
両方とも植物油で揚げたものを素材に使っています。(おいしい物は昔も今もいっしょ)
きつねうどんの元祖は大阪の「松葉屋」といううどん屋さんらしい。
このきつねうどんに対抗して、他のうどん屋さんが天かすをのせたものを”たぬきうどん”(中身がない、つまり種抜き)として売り出したみたいです。
ただし、天かすは”揚げたて”でなければいけません。