うどん小話 その百八十二 ひとり言(パート2)
うどんの味には水が大きく影響するのですが、煮る釜の型も大切です。鉄製の丸型が一番いいように思います。そのうえ火力の強い燃料がいい。なぜかと言いますと、釜の湯の対流が良く、すばやく麺が茹であがるのです。麺がお湯の中にいる時間が短ければみじかいほど、美味しい麺となります。
今、東京でブームになっているうどん屋さんは具をトッピングする方式になっていますが、これがさぬきうどんの特徴ではありません。昔からあることにはあったのですが、高松市内のごく一部のうどん屋さんがやっていた商売方法の一つです。手打うどんではなく、機械麺でセルフ方式ですから人手がいりません。今の時代に合ったのでしょう。
「かけうどん」と「ぶっかけうどん」は、だし汁が熱いか、ぬるいかの違いなのに、値段が違うのもおかしな話です。「ぶっかけうどん」のことは、小話百五十八(ぶっかけうどんの怪)をもう一度お読みください。このうどんは"サンドイッチ"や鮨の"鉄火巻"と同じ「食べ方」のものなのです。
「湯だめ」と「釜あげ」の舌ざわりの違いもわかって欲しいと思います。
「ざるうどん」は釜からあがった3分以内の麺を食べてください。そして七味は入れないでください(七味は熱いうどんに合います)。
「山かけ」は冷たい方が美味しいと思います。それと山芋の汁は残さずお飲みください。
「七味」は"匂い"も楽しんでください。
「天ぷら」は必ず揚げたてのものを食べてください。
昔は、さぬきうどんといえば当然「さぬき手打うどん」であったのが、「手打」が抜け「さぬき」だけが一人歩きをしているのが現状です。これもおかしな話です。お客様の目の前で打ち、切り、そしてその技術を競い合う"うどん王国"になればいいのに・・・・。
以上、いろいろ思いつくままに書いてきましたが、ついつい野暮話になってしまいました。
うどん屋の親父のひとり言と思って、お読み流しください。