うどん小話 その百八十三 桜と汗
桜も咲き、春本番となりました。店の庭に5本の桜の木があるのですが、全て種類が違います。「しだれ桜」・「八重しだれ桜」・「陽光」・「山桜」・「一葉」です。「陽光」から咲き始め、「一葉」が最後になります。この「一葉」は薄黄色の八重なのでめずらしく、とても美しい桜花です。
日本人と桜は、弥生時代(稲作文化)から大切なかかわりを持っていました。桜の花が咲き始めると水田の準備に取りかかり、籾(もみ)を蒔くのです。ちなみに桜の「サ」は、早苗(サナエ)、早乙女(サオトメ)、五月(サツキ)の「サ」と同じく山の女神を意味する言葉であり、「クラ」は神霊が依(よ)り鎮まる"座"を意味しているといわれています。つまり「桜」は山から下りてくる農耕の神が、田に入る前に宿る神聖な樹なのです。このように日本人にとって最も大切な稲作のシーズン・インを、桜が教えてくれていたのです。
桜の話はこの辺で置きまして、うどんの話に入ります。
この時期になりますと、手打うどんの作業中に体に汗が滲んできます。昼の繁忙期には額からポトリ、ポトリと汗が落ちてきます。最近は落ちる量が多くなったみたいです。風呂に入って頭をシャンプーする時、以前と同じ量をつけるのですが、なぜか全身泡だらけになってしまいます・・・・。そうです、薄くなっていたのです。森林の伐採が過ぎると洪水が起きるのと同じ状態であったのです。
私は歳だからいいのですが、森林はそうはいきません。あとに残る子供達の為にも、自然は大切にしたいものです。