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うどん小話

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うどん小話 その百九十四 裏メニュー

キラキラ輝いていた新緑も、すっかり深い緑となりました。店内を夏用の座布団に変え、従業員のオバチャン達も夏衣装に衣替えです。そしてこの時季から「冷しうどん」の登場です。当店のメニューのなかで、この「冷しうどん」だけが季節物です。

メニューの話が出ましたので、今日は"わがまゝメニュー"について書いてみます。

通常はメニュー板に書いてあるうどんしか作らないのですが、なかにはメニュー以外のうどんを注文するお客様がいます。若い時でしたら、「そんなうどんは出来ません!!」・・・・とプィーと横を向いていたのですが、私も歳をとりました。最近ではフンフンなるほど、こんな食べ方もあったのかと勉強になることがあります。

つい最近のことです。A社(小話百四十:かしわうどんの恩人に登場)のO社長とN部長が来店し、O社長はかけうどんに"おでん"を入れる「おでんうどん」、N部長はカレーうどんの中に"かしわ"を入れる「かしわカレーうどん」を注文するのです。また他のお客様のなかにも、タヌキうどん・ざるうどんに"かしわ"を付けたり、カレーうどんや釜あげうどんのだし汁に"天カス"を入れたりと、いろいろなメニューを作ってくれます。当然、"かしわ"と"天カス"は揚げたての熱っ熱のものです。

お客様が帰った後で自分で食べてみると、なるほどこれはイケルワ!!というメニューもあります。自分で納得して美味しいと思ったメニューは「裏メニュー」として隠しておき、けっして表のメニュー板には書きません。

お客様が食べても、我々うどん屋が食べても、美味しいものはおいしい。ちなみに"おいしい"の「お」は接頭語で、基の言葉は「いしい」または「いし」で、良い、好ましいのほかに、神妙である、殊勝であるの意味も含まれています。

この言葉の通り、我々食べ物屋はお客様に神妙でなければと思う、今日この頃です・・・・と言うことで今日の話は終わります。

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