うどん小話 その五十四 五穀
”五穀豊穣”という言葉がありますが、五穀の種類がおわかりでしょうか。
”五穀”とは何か・・・・・・・・、いろいろな説がありますが、最も一般的なものは、稲(とう)・黍(しょ)・稷(しょく)・麦(ばく)・菽(しゅく)とする説です。
稲(とう)はもちろん米のことで、黍(しょ)は”きびもち”、稷(しょく)は”高梁(コーウリャン)とも”粟”とも”うるちきび”ともされ、麦(ばく)は大麦または小麦のこと、菽(しゅく)は豆類の総称です。
この五穀のなかで天からの賜り物として麦のことが「詩経」のなかに出てきます。
小話その十七で書きましたが、来年とは年を越して麦の稔る翌年のことをいうのです。同時に天から下りきたことから”来”が「きたる」の意味に用いられるようになり、その後現在使われている「麦」の字に変化していきます。
「麦」の「夊」の字は足のことで、麦は冬に根を踏みつける麦踏みの必要があったからと考えられます。(小話その二十九をもう一度ご覧ください。)
五穀のなかで中国(周王朝:紀元前1100~前770)の神話として伝わったのは「麦」だけです。それほど麦は大切な食べ物であったのでしょう。