うどん小話 その八十八 「しょうが」と「ワサビ」
ざるうどんには"しょうが"、ざるソバには"ワサビ"が合うと、小話八十二で書きましたが、書いた後でなぜなのか・・・・?、私自身も不思議に思い、もう一度調べ直して自分なりの結論を出してみたいと思います。
まず"ワサビ"ですが、他の薬味類と違って純日本原産でアブラナ科に属する多年生植物です。
全国各地の冷涼な山間部の谷間に自生しています。主に根を香辛料として利用しますが、葉や茎もワサビ漬けなどに利用するなど無駄のない植物です。
"ワサビ"には山の中で栽培する「畑わさび」と、清流に作られたワサビ田で栽培される「沢わさび」とがあり、どちらも種類は同じ"ワサビ"で、栽培環境によって呼び方が違うだけです。
"ワサビ"の登場はいつの頃かと申しますと、平安時代に記された「本草和名(ほんぞうわみょう):918年」という本に出てくるのです。
その後、鎌倉時代に編纂された「古今著聞集」の中に、"ワサビ"が自然の中で自生している様子が書かれています。室町時代になると"ワサビ"が食用としていろいろな使われ方をし、江戸時代には"ワサビ"をはさんだ「にぎり鮨」が考案されています。
ここまで簡単に"ワサビ"の歴史を書いてみましたが、これだけでの話では、なぜうどんには"しょうが"で、ソバには"ワサビ"なのかがわかりませんから、もう少し"ワサビ"について書いてみます。
次ページは、謎にせまってみます。