うどん小話 その九十六 器(どんぶり)パート3
九州宮崎県から来たKさん、なんといっても男前。身長1m75cm位、言葉づかいもまったくの関東弁、映画俳優に例えれば高倉健タイプ、立ち振る舞いも民芸店の主人には見えません。
不思議でしたのでKさんに聞いてみましたら、若い時、東京赤坂の有名料亭で、板前の修業をしていた時期があったのです。
Kさんが店に出ますと、地元志度町内のオバチャン達が大勢"うどん"を食べに来るのです。女性を引きつける「何か」がありました。
夜は9時までの営業なので、店を閉めると毎晩のごとくマージャン。打ち方がこれまたプロ級、勝つでもなく負けるでもない、とにかくメンバーをハラハラドキドキさせる打ち方をするのです。
それもそのはず、宮崎市内では名の知れたプロ雀士。そのプロ雀士がなぜ香川県のうどん店に来たのか・・・・?
もう時効だからこの小話に書いていいでしょう。実は警察に賭博容疑で追われていたのです。(後になって知りました。) まさか宮崎県警も、香川県のうどん店に居るとは思わなかったでしょう。
半年たった頃、宮崎市内で民芸店を経営している奥さんが訪ねて来たのですが、これまたスーパー美人、ビックリしました・・・・!!このKさんも今ではもう六十数歳のいいオジイチャンになっていることでしょう。息子さんが福岡県の警察官になったことも、ずっと後になって知りました。
このKさんのおかげで、香川県内のうどん店では一番最初に砥部焼きの"どんぶり"を使ったのです。焼物の知識をずいぶん教えてもらいました。ちなみに当店の器はすべて砥部焼きです。
人の縁は大切にしましょう!!
今このページを書きながらふっと思ったのですが、Kさんが梅山窯へ修業に行ったのも、実は警察に追われていたからではないか・・・・? 私なりの想像ですが。