うどん小話 その百二十八 支店の街
高松市に本社を構える四国新聞のページに「支店の街」というコラムがあります。県外から転勤して来られた支店長・営業所長さん達が、香川県または高松市に対する感想を書いている欄です。
このコラムの中で、10人中8人までの人が"うどん"のことを書いています。東京の人達に香川県を知っていますか・・・・?と聞いてみますと、ほとんどの人が知りませんと答えが返ってきます。そこで"さぬきうどん"は知っていますか・・・・?と聞きますと全員が知っていると言います。このようなわけで転勤して来られた支店長さん達が"うどん"のことを書くのも無理はありません。
今日はこの"うどん"について気になることがありますので書いてみます。ある海苔メーカーの営業所長さんのコラムです。「高松に行ったら、生醤油(きじょうゆ)うどん、絶対食べや」と知人に餞別の言葉をもらって赴任したとありました。
いつの頃からか、誰が広めたのか不思議でなりません。私がうどん屋を始めた30年前頃には「生醤油うどん」のメニューはありませんでした。今でも我々県人で「生醤油うどん」を食べる人は少数派です(小話その百九参照)。たぶん、お客様が言い始めたメニューでしょう。我々が小学生の頃(食料の不足した時代)、食べさせられていた"うどん"(醤油をかけるだけ)を懐かしく思い、注文したのが始まりのような気がします。県外の方からみると珍しい食べ方だったので、これに「マスコミ」が乗っかったのでしょう。
うどん屋としては"ダシ"を作らなくてもいいし、店の回転もいい、その上お客様にとっては安価ときています。お客さまの要望とうどん屋の商売方法が合致したのではと思います。
この食べ方をするのであれば、是非「釜あげ状態のうどん」で食べてください(小話その十四参照)。
うどんに限らず麺料理は"ダシ"と"具"とそして"麺"の調和にあります。"さぬきうどん"も例外ではありません。
「生醤油うどん」を食べる人が、けっして「通」ではありませんし、"さぬきうどん"を代表するメニューでもありません。