うどん小話 その百五十一 サンマ
昨年の今頃は、Y駅長の兄さんが作ってくれたサンマ鮨を頂き、あんまりにも美味しかったので、その作り方を小話に書いたのですが(小話百六参照)、今日は香川県とサンマ漁について書いてみます。
香川県(讃岐)は"うどん"だけが特産のように思っている方が多くいますが、決してそうではありません。香川県では昔から「讃岐三白」という有名な言葉があります。この三白のうちに"うどん"は入っていません。時々、讃岐米が三白の一つだと言う方がいますが、それも違います。
三白とは、"塩"・"砂糖"・"綿"のことです。これら三品のキーワードは高温少雨です。今年も瀬戸内海沿岸は雨が少なく、お隣の愛媛県、対岸の岡山県では渇水対策がとられています。我々香川県人は早明浦ダムのおかげで、今年の夏は水に困らない生活ができています(小話百三参照)。
話が横道にそれました。サンマの話にもどります。昨年はサンマ鮨を美味しくいただいたのですが、今年はサンマのサシミです。我々、瀬戸内海沿岸に住む者にとって、このサシミは珍味です。これも輸送方法が発達したおかげです。
ではなぜ香川県とサンマの話になったかと申しますと、実は香川県のサンマ漁は名実ともに日本一であったのです。津田町・引田町・志度町などの港から出漁し、全国水産業界の中で名を馳せていました(もっともサンマの水揚げは三陸の港です)。また、サケ・マスを沖で獲り始めたのも香川県の漁船団でした。それまでは、サケ・マスが川に溯上するのを捕獲する方法が主たる漁法でした。
明治時代から、香川県漁船団は朝鮮海域・南方へと漁場を求めた遠洋漁業の先駆者でした。昭和に入っても、この先駆冒険精神がサンマ漁、サケ・マス漁に生かされ、活躍したのです。小話八十七に登場する津田町のT君はこの漁船団の船主の息子です。
瀬戸内海は"海の富"を求めるにはあまりにも小さかったのです。
今、この小さい瀬戸内海が傷つき、悲鳴をあげています。もうこれ以上瀬戸内海を壊すのはやめてください。