うどん小話 その百五十七 讃岐うどんブーム
秋がかけ足で通りすぎようとしています。10月7、8日と大学時代の友人に逢いたくなり、静岡県・清水市に行ってきたのですが、清水港から見える富士山は、早くも雪化粧をしていました。
東京から友人のK君(空手の先生)が来ており、昔話に花が咲きました。そのK君の話のなかに、今、東京で"讃岐うどん"がブームになっており、「ファースト・フードの手強い競争相手になっているよ。」とのことでした。私も最近の週刊誌で何度か目にしたことがあります・・・・が、どうも違うな・・・・。なぜ讃岐なのか・・・・?。不思議な気がしていたところ、10月24日の日本経済新聞"春秋"の欄で、私と同じことを思っている記事が書かれており、安心しました。
韓国から修業に来ていた張(チャン)さんも言っていましたが、ソウル市も"讃岐うどん"ブームだそうです(小話百二十九参照)。東京もソウルも"讃岐"だらけです。なんでもかんでもうどんに"讃岐"を付ければ良いと言うものでもありません。
大阪を中心とした関西地方には、このブームはありません。うどん料理の発祥地だからでしょうか。うどんに対する自身と誇りがあるみたいです。
当店に大阪吉本興業のお笑いスター(T・Mさん)がよく来てくれるのですが、極々普通のうどんを注文してくれます。
讃岐うどんの原点は家庭料理であった"打込みうどん"にあります。お客様の目の前で打ち、手で切り、釜の中に入れます。そして茹で上った玉(麺)をすぐ食べるところにあります。
機械で製造した乾燥麺・半生麺は、本来土産用(贈答品)として販売していたものです。うどん専門店でお客様に出す麺ではありません。
第一次の讃岐うどんブーム(小話百十六~百十九参照)から三十数年たちますと、こんなにも"うどん"が変わるものでしょうか。もっとも社会状況がデフレと言うこともありますが。でも地方の郷土料理は、"食の文化"として守っていきたいものです。
ちなみに第2次ブームは二十数年前で(小話百五十五参照)、現在は第三次ブームのような気がします。
これが良いか悪いかは別にして・・・・。