うどん小話 その百六十 舌の味覚地図
味覚について良く知られている常識があり、それは「舌の味覚地図」と言われるものです。味の感受性は舌の部位によって異なり、先端部で甘みを、舌縁部で酸味を、舌根部で苦味を、そして舌全体で塩味を感じる四つの部位(地図)に別けることができます。
最近、舌根部でうま味が感じられることがわかりました。甘味・塩味・酸味・苦味の四つの地図に、うま味(日本人特有の味覚)が加わったわけです。もっとも、その部位だけで「その味」を感じるといった極端な解釈は間違っています。
食べ物・飲み物をじっくりおいしく味わうには、口の中の隅々までころがしながら滞在時間を長くすることが大切です。
四種(五種)の味覚神経からの味覚情報は、脳に送られてあたかも四つのスピーカーから出る音を立体的に聞くように味わうことができるのです。
"のど越し"の味を伝える部位は上喉頭神経でビールの「キレ」とかがわかるところです。当然、うどんの"のど越し"も上喉頭神経で感じているのでしょう。
前ページで書きましたが、私はうどんを噛んで食べるのですが、「感じる部位」があるのですから、"のど越し"で食べる人がいてもいいわけです。ちなみに、喉(のど)は飲み戸(ノミド)がつづまってノド(喉)という語になりました。ト(戸)は出入り口をいいます。
笑いが免疫能を高めるのと同様に、おいしいという快感は楽しいとき、愉快なとき、面白いときなどの快感と本質的につながっているみたいです。
食べ物は、おいしいと感じながら食べましょう。