うどん小話 その百六十六 鍋奉行と悪代官(パート2)
鍋料理は普通4人で一つの鍋を囲むのがベストのように思います。20名のお客様であれば、鍋の数は五つとなります。この五つの鍋には必ず奉行と代官が必要なわけですが、いつもそううまくはいきません。
お客様が帰った後、鍋の様子をみれば奉行職が事を執行したかどうか一目瞭然。どんな鍋料理でも、最後まで煮詰まらさず見事に食べきっているお客様もいれば、反対に食べ残しの具があちこちに散らばり、器もバラバラ、"だし"はグチャグチャ・・・・。
鍋料理をする時は最初に奉行と代官を決めておくことです。奉行は具を入れる順番を決め、煮えたか否か他の人に教える役をします。肝心なことは"火かげん"に細心の注意をはらい、出来上がった具を取り出し次々と新しい具を入れていきます。このような作業をしますと、自分の食べる機会が少なくなりますが、人に尽くすのが奉行の役割だからしかたありません。4人いれば必ずこのような人はいるはずです。
悪代官は名の通り灰汁(アク)を取る作業をします。どんな鍋料理でも灰汁は出ます。悪代官と名前はわるいのですが重要な役割です。でもこの役は"ジャンケン"で決めればいいのです。
最近のことですが、5名のコンパニオン嬢を呼んで鍋料理での忘年会がありました。コンパニオン嬢の具の入れ方を見ていたのですが、服装のセンス(私の好みで決めました)のよい女性は調理方法が上手でした。服装のセンスと料理のセンスとはどこかで合い通じるものがあると思ったのですが、私の思い過ごしでしょうか。
ちなみに、「奉行」とは上命を奉じて事を執行すること。武家の職名で政務を分掌して一部局を担当する者。「代官」とは江戸幕府の役人で、幕府直轄地を支配し、年貢収納・その他民政をつかさどったものと広辞苑にありました。
水戸黄門のテレビ番組ではいつも「悪代官」ばかりが出てきます。年貢(税金)収納の仕事はいつの時代でも悪役となり気の毒です。
でもやっぱり税金は安い方がいいか・・・・。